Value Engineering (VE) という考え方

数年前から、典型的な製造業の会社でお仕事しているのですが、そこで初めて Value Engineering (VE) という言葉を知りました。
直訳すると「価値工学」になりますが、それだけじゃ意味が分かりません(笑)

詳しい説明は、下のリンクから読めますので、割愛します。
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/ve.html

大雑把に言っちゃうと、
ある製品の価値:V
その製品の持つ機能:F
その製品のコスト:C
とした時に、V = F / C として表されると考え、このVをより大きくしましょう、という考え方なんだそうです。

先のリンクによると、この考え方は、とても大事な考え方だそうで、、、
『VEはモノやコトを対象に、その価値の改善・向上・保証を目的に行われる工学的マネジメント手法である。
IE、QCに並ぶ「3大管理技術」の1つと称されることもある。』んだそうです。

「3大管理技術」とは、なんともご大層な!(笑う箇所ではないんでしょうけど。。。)


まあ、Fを、どう数値化するのかという問題は、一旦横に置いておくとして、Vを増やす方法は簡単で、
V' = F * a / C * b  
という V'が、V より大きくなるための条件 (ただし、a>0, b>0) を考えると、
a>b であれば良いということになる。

つまり、Fを減らしたとしても (例:a = 0.8) Cをもっと減らす (例:b = 0.5) という選択肢もあって良いと言えそう。

と・こ・ろ・が、
Value Engineering の教科書では「機能の引き下げは別製品の開発と看做され、VEの範囲外となる。」と教えられるんだそうです!!!!
つまり、a≧1 でないと、イケナイんだそうです。(ええっ!って思いません?!?!)

なんか、ここに、日本の製造業が陥ってしまった教条主義的な考え方があるような気がします。

日本の従順な技術者は、「3大管理技術」の一つのVEの考え方に基づいて、
「機能を増やすことは、絶対的な善である」
「機能の引き下げは、VEの範囲外となる」
等と教えられるわけです。それが正しいか正しくないかを自分の頭で考えることもなく。

これはもはや洗脳と言っても良いかもしれません。

そのように叩きこまれた技術者は、標準的なユーザーが求めないであろうオーバースペックであっても、「機能を増やすことは、絶対的な善である」と信じて、それに邁進しちゃうのかな、と。

で、この数式の一番の問題は、あたかも機能(F)が無限に増やせるような錯覚に陥ることだと思います。
ユーザーが求めていない機能は、評価されるべきではないと思うんですよ。

 技術者が、「機能を1増やした!」と思ったとしても、お客様がそれを「価値のある機能」と思わなければ、価値は増えてないハズですよね。

 そうやって考えていくと、最初の(一旦横に置いといた)「機能(F)は、どうやって数値化するのか(評価するのか)」という問題に、対面することになります。

Steve Jobsじゃないけど、それは「顧客が真に求めているものは何か」ということを、愚直なまでに追求して考える、、、ということなんだと思います。